遺伝子学者と脳科学者の往復書簡:村上 和雄・川島 隆太 著 2010/1/26 くもん出版
今、子どもたちの遺伝子と脳に何が起きているのか?
遺伝子と脳は、どこをめざしているのか
村上 和雄 氏 (筑波大学 名誉教授) Wikipedia
川島 隆太 氏 (東北大学 教授) Wikipedia
川島隆太研究室
-----
↓本文より:
☆四通目 ◆今、子どもたちにしてあげるべきこと
● 脳科学者から遺伝子学者への手紙
○ 「喜んで勉強する」と「自分から勉強する」はちがう
村上先生は、自分の意思で何かに取り組むことの大切さを強調されていましたが、私から
一つ、補足させていただこうと思います。それは「喜んで取り組む」と「自分から取り組む」
を混同しないよう、注意が必要だということです。
学習の本来の目的は、教科書的な知識の丸暗記だけではありません。村上先生もお書きに
なっていたとおりです。身につけた知識をもとに、それを思考によってさらに深めたり、
ほかのことがらと関連づけて理解したりといった活動も、とても大切です。これらはまさに、
外部から強制されておこなうのではなく、自分の内発的な知的欲求によっておこなわれるもの
です。こういった中から、自分なりの目標や目的、さらには夢というものが生まれてくるわけ
です。
これが、実際に今やっている「学習」に多少苦痛な部分が含まれているとしても、その先に
ある目標、目的、夢といったものをめざしてがんばっていこうという、強い意思を持つことに
つながっていきます。
つまり、「自分の意思で学習に取り組む」ということの中には、「多少の苦痛はがまん
して取り組む」ということも含まれるわけです。
いっぽう、喜んで取り組む、楽しみながら学習するという場合は、苦痛の部分は可能な限り
排除されています。「強い意思」がなくても、机に向かえるようにできているわけです。
そういった教材に子どもが喜んで取り組んでいるからといって、これで勉強に対する能動的
な姿勢がつくれて、村上先生がおっしゃるところの「遺伝子のスイッチがONになる」とは思わ
ないでいただきたいのです。
楽しい教材とは、楽しさを提供されている教材です。学習者にはどうしても、受身の部分が
できてしまいます。もし、そういった教材ばかりを使っていたら、お楽しみばかりが学習の
目的になってしまいかねません。
○ 脳活性化の切り札は親子のコミュニケーション
知識や技術。記憶力、学習力、創造力。コミュニケーション力や感情を制御する力。これら
の力も生まれついて持っているわけではなく、成長する中で身につけていくものです。
そして気づいていただきたいのは、こういった能力はすべて、脳の前頭前野の活動に基づい
ている、ということです。つまり、前頭前野の活性化を図ることが、子どもたちをよりよく
成長させることにつながるのです。村上先生流の言い方をすれば、脳を活性化することが、
様々な遺伝子のスイッチをONにすることになる、といえるのではないでしょうか。
「反抗期」という言葉があります。思春期の、どんなことに対しても反抗的な言動を取る
時期、と理解されていると思います。「あの子は反抗期だからしかたがない」といった言い方
もよくされます。
でも本当は、わけもなく反抗しているのではなく、脳の発達によって、能動的に行動したい
という人間として当然の欲求が強くなっているのに、周囲の大人たちがいつまでも子ども扱い
して「受動的」でいることを強いることに対して反発している、と考えるべきなのではないで
しょうか。
そしてそのことは、単に反抗する・反抗されるといった、表面的な問題以上のものを含んで
いると、私は考えています。脳が成長すれば、知的な要求も高まります。知りたい、学びたい
という気持ちです。ただしそれは、能動的に学びに取り組みたいという側面を持っています。
けっきょく、反発したり反抗したりする子どもに問題があるのではなく、子どもの成長と
変化に気づかず、対応を変えることができない大人の側に問題の根があるのではないかと思う
のです。
学びとは、知的興奮の集合体だと私は思います。だからこそ、学びの結果、知的興奮による
満足、すなわち「快」の感情を得ることができ、それがさらなる学びへの欲求につながるの
です。
小学生の高学年や中学生くらいになったときに、それまでなんのために足し算やかけ算を
習ってきたのかが、方程式を解く中でわかってきて、数学的なヒエラルキーの中では、自分が
これまで学習してきた、させられてきたことにはすべて意味があったことがわかる。これほど
知的興奮を刺激し、前頭前野を活性化することはないのではないでしょうか。
私たち大人は、せっかくこんな貴重な成長の時期にある子どもたちとのコミュニケーション
を、「反抗期だから」のひと言でないがしろにしてきたように思います。子どもたちの成長を
認め、それに合わせた対応でつながりを維持していくことが、子どもたちの成長の可能性を
さらに広めることになるのだと思います。
-----
【自分から取り組む】【能動的】【親子のコミュニケーション】:
【しらさん家】の『笑足運動あそび』は仲間とのかかわり合いが生まれるキッカケづくりに
こだわっている。
それは、いわゆる指導者に依存しきった・受身のみの関係にならないような仕掛け・意図も
ある。
そして【自愉力:自分らしく愉しむココロをつなげるチカラ】という表現にも【自分から~】
の価値への気づきにつなげたいという本質がある。
【親子のコミュニケーション】において『親子で運動あそび』実践の場面で【カラダでの
コミュニケーション】が一つの大きなキッカケになると確信している。
小学校5,6年生向け『親子で運動あそび』の付加価値として、「反抗期」のはじまりに対して:
「子どもたちの成長を認め、それに合わせた対応でつながりを維持していくこと」の大切さ!
『ふれあい・絆』をココで途切れさせない!という視点も強くお伝えしていければと考えて
いる。『自立』とのかねあいが簡単ではないと思うが…
2010年4月30日金曜日
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿