新国民病 ロコモティブシンドローム―長寿社会は警告する:中村 耕三 著 2010/03/10 日本放送出版協会
中村 耕三 氏
(東京大学 大学院 医学系研究科・医学部教授(整形外科学講座))
東京大学医学部附属病院 整形外科・脊椎外科
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↓本文より:
☆第1章 今日本人のからだに何がおきているのか
「ふえている膝と腰の悩み」
日本整形外科学会は2007(平成19)年に「ロコモティブシンドローム(locomotive syndrome)」
という新たな概念を提案しました。ロコモティブ(locomotive)という語は「運動の」の意味で
「機関車」という意味もあり、能動的な意味合いをもっています。この新しい概念を提案した
のは、そのことによって、いま日本人のからだにおきていること、そして日本社会が直面して
いるこの運動器の問題に多くの人々が気づき、まずは意識をし、そして前向きに取り組んで
ほしいからです。
ロコモティブシンドローム、略して「ロコモ」は、運動器の障害による要介護の状態や
要介護リスクの高い状態のことを示しています。日本語では「運動器症候群」です。
「ロコモは社会全体の問題」
戦後日本は命を大切にし、一人ひとりが長く生きるという社会を実現し、世界一と呼べる
長寿国になりました。その一方で、少子化が進んで、高齢者を支える人口が減っています。
過疎化などで65歳以上の人口比50%以上になり、共同体の機能が維持できない地域社会も
現れ始めています。歩くのに苦労するために家に引きこもる高齢者が多くなり、近所の商店街
は寂れ地域経済は沈滞し、若い人たちは働き口を求めてますます都会へ出ていきます。地域の
近所づきあいは少なくなり、それがいっそう高齢者が引きこもりになる原因になっています。
現在、予備軍を含めてロコモと呼ばれる人々の数は4700万人です。60歳過ぎの団塊世代が
75歳以上になるころ、ロコモ人口はどれだけふえていることでしょう。少子化で減って
しまった若い人たちが、それを社会保障で支え、さらに祖父母、両親の介護という形で
支えることになります。
ロコモが進行して要介護に至らないよう、できるだけのことをすることが、本人の幸福の
ためだけでなく、社会全体にとっても大事なことなのです。
☆第6章 ロコモにつよいライフスタイルを
「あらためて『ロコモ』で提案したいこと」
ロコモは、高血圧症や認知症と同じくらいの割合で要介護の原因になっているという事実が
あります。にもかかわらず、これまで社会的にあまり大きくはクローズアップされてきません
でした。
ロコモから要介護に至る方が増加していて、その数はこれまでどこでも経験されたことが
ないほど膨大であるという点が重要です。この状態は足腰が弱った人が少数であったときの
対応方法を、単に延長したくらいでは対応できないような状態なのです。……従来の考え方
では十分な対応ができない時代を迎えていることは明らかです。
日本整形外科学会が中心になって、ロコモティブシンドロームという考え方を提案している
のは、まずこのような現状を広く知っていただきたいとの思いからです。運動器の知識を
もって生活すれば、運動器の機能の低下を予防し、健康長寿につなぐことができるでしょう。
「地域で支えるロコモ」
ロコモは予防的な概念を含んでいます。年齢を重ねるにつれて運動器は変性をおこし、50代
以上になるとどこか不調なところが出てくることが多くなります。膝や腰に痛みが出ることが
あり、日常生活の動作も徐々に大変になってくるかもしれません。しかし、運動器の機能を
低下させないようにロコトレを行うことでこれらを予防し、積極的に外出し、社会活動を行う
こともできると思います。
地域では、ロコモの人が引きこもりにならないよう、いろいろ工夫をしたり、インフラを
整えたりして、ロコモの予防をしようとしている人たちを後押しすることが必要です。
そのためには、やはり一人でも多くの人にロコモに関心をもってもらい、理解してもらい
たいと思います。運動器の知識を共有することがその第一歩になります。ロコモという言葉
はそのためにあります。今後もできるだけロコモティブシンドロームという問題の重要性を
広めていきたいと思っています。
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「ロコモ」「ロコトレ」「運動器」「運動器不安定症」
ネーミング+略しかたの重要性を感じる!
NHKでも「きょうの健康」「ためしてガッテン」「名医にQ」等で2009年頃から多く取り上げ
られている印象だ。
「メタボ」「脳トレ」「循環器・呼吸器」「高血圧症」「認知症」
と比較するとまだまだ広く活用されている現状ではないようだ。
「コーディネーショントレーニング」「運動あそび」「笑顔つながり」
我々の取り組みをお伝えするキーワードたち!いかがだろうか?
メディアで頻繁に集中的に取り上げられるかどうかで広まるスピードは変わってくると思うが
一つひとつ地道に実践を積み重ねていくしかないだろう。
来週4/20(火)小千谷・富久寿大学の開講式でお話をさせてもらう機会を得たが、この一歩一歩
につなげていくチャンスとして活用させてもらおうと考えている。
上記本文からの抜粋のポイントは
「社会全体」「地域で支える」だ。
地域の課題としては、まだまだ多くの方々には認識されていない?と思う。
「健康管理は一人ひとりの問題」から「一人ひとりが地域で信頼できる仲間とともに生きがい
を持って健康に生き切るコトは社会の問題」になっていくサポートを粘り強く追求したい!!
2010年4月15日木曜日
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