月刊「健康づくり」特集:健康づくりのインセンティブを考える
今回この記事に触れ、当社の【歩人駅(ほっとターミナル)】構想について考えてみました!
財団法人 健康・体力づくり事業財団
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↓本文より
○進むインセンティブの導入
健康であることは、本人にとってはもちろん、その人を取り巻く社会にとってもメリットが
あるケースが多い。たとえば、その人が会社員であれば、元気に働いてもらうことは企業に
とって望ましい。また、その人が加入する医療保険にとってはその人が健康であれば保険給付
が少なくなり、財政にとって望ましい。あるいは、その人が生命保険に加入していたら、疾病
等に対して保険金を支払う可能性が少なくなる。ただ、健康づくりをするためには、なにより、
本人に健康になりたいという意思をもってもらう、行動変容を起こしてもらう必要がある。
そこで、運動や禁煙、健診の受診など、健康づくりにとって望ましい行動を行った人に対して、
現金や商品、サービスなどの「インセンティブ」を贈る取り組みが見られ始めた。
国の今後の健康政策においても、インセンティブには注目が集まっている。政府の
「新健康フロンティア戦略」(平成19年度)では、メタボリックシンドローム対策の抽出方策
として、動機づけツールの活用やインセンティブの付与などにより、民間活力等を活用した
国民の継続的な取り組みを支援することが重要だとされている。健康づくりに対してインセン
ティブを付与し、個人における取り組みを補助・促進する。そのような有効な社会のしくみ
づくりに向けて、さまざまな試行的な取り組みが行われている。
○地域通貨をインセンティブにして社会を活性化
「地域通貨」を用い、健康づくりのインセンティブを提供しようとする自治体の動きも
見られる。
地域通貨とは、市内の協力店舗など、限られた地域やコミュニティ内でのみ通用する通貨を
流通させる取り組みである。現在全国で、280近くの地域通貨が流通しているといわれる。
自治体が地域通貨制度を導入するねらいとして大きく共通するのが、地域の活性化だ。街の
都市化が進む過程で、従来はご近所どうしといった地域のつながりが担ってきた互いの「助け
合い」機能は低下傾向にある。また、高齢化が進むなか、公的サービスだけで高齢者の安心・
尊厳を支えるのは困難であり、住民相互の助け合いは不可欠だ。そこで、地域通貨のような
インセンティブを用いるなどして、かつての地域社会が自然に発揮していた助け合いの精神を
掘り起こすことが始められている。
幅広い地域づくり・健康づくり活動に対して地域通貨を付与する自治体の例が滋賀県彦根市
の「美しいひこね創造プロジェクト」だ。
地域通貨「彦(げん)」
『美しい活動』
1.まちの美観を保つ活動
2.地域安全活動
3.助け合い活動
4.低炭素社会づくり活動
5.健康増進活動
5つの活動のうち、「健康増進活動」は、道具等を使わずに、誰でも、何人でも、いつでも
取り組めるという理由から、ウォーキングまたはジョギングに限定した。これらの活動を
行った人は、各自で活動報告書に記録。1週間で15分以上の活動が1単位となり、翌年度、
活動報告書を市に提出すると活動単位に応じた「彦」が交付される(1単位=25彦)。市から
受け取るだけでなく、住民の間で流通させるのも自由だ。たとえば、子どもの世話を頼んだ
お隣さんに感謝の気持ちとして「彦」を贈るという活用方法もある。
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【ヒトは一人では続けられない】という「仮説」からのスタート⇒
今回紹介されている取り組みは県や市の自治体が主体に進めている内容であるが、活動の
活性化のためには、民間との連携が非常に重要だと考えられる。
また、その一歩を踏み出す中心的な役割を担うヒトの存在も不可欠になっていくであろう。
柏崎モデルの確立に向けて、我々がみんなを巻き込む核となれるよう一つひとつ試行を積み
重ねていきたい。
2009年9月14日月曜日
2009年9月3日木曜日
特集:健康づくりのインセンティブを考える 1
月刊「健康づくり」特集:健康づくりのインセンティブを考える
今回この記事に触れ、当社の【歩人駅(ほっとターミナル)】構想について考えてみました!
財団法人 健康・体力づくり事業財団
島田 晴雄 学長 (千葉商科大学) Wikipedia
HARUO SHIMADA Web Site
haruo's weblog
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↓本文より
☆お金より大きなインセンティブを
○現在の健康づくりの政策について
健康と社会、特に産業分野についての考え方で、私がいま特に必要だと思うのは「医療」
という概念を広げることだと思います。一般に医療とは病気を治すことだと思われています。
しかし私の考えでは、病気を治す「治療医学」は非常に狭い分野で、実は医療にはさらに
3段階があるのです。
まず、治療医学の前に、病気にならないための「予防医学」があります。
また、特定の病気を予防する以前に積極的に身体を鍛えたりして全般的な健康増進を図る
「健康医学」があります。
さらに進んだ段階として「快適医学」というものがあるのです。
快適医学とは、老若男女、健常者も病人も、だれもがもっている「あしたはきょうより
もっと元気になりたい、美しくなりたい」という気持ち、これを支援するものをいいます。
○生活習慣病対策において、インセンティブの導入はどのような意味をもっているか?
よくない生活習慣が原因で生活機能が低下したり要介護状態になったり、最悪の場合は
死に至る。これは本人や家族が不幸であり、働きざかりの命が失われることは経済や産業
にとっても大きな損失です。逆に健康な人が増えると医療費が安くなったり、保険給付が
少なくなって、国や医療保険者にとっては財政が助かるでしょう。
健康を志向し、生活習慣を見直してもらう過程でなんらかの動機づけ、インセンティブ
を考えるのは当然であり、意義のあることだと思います。
しかし、個人はそんな理由では健康づくりを続けられないでしょう。人間はモノやお金
をあげるからこれをやりなさい、そういって動くほど単純ではないですね。だから、モノ
やお金というのは、本当のインセンティブにはなりません。
○本当のインセンティブとは?
人はそれぞれ、いろいろなことに楽しみや喜びを感じるものです。なかでも何か尽きない
興味を持つこと、これは誰にとっても生きる喜び、インセンティブになると思います。
~心が健康で、こうした生きる喜びを実感できることこそが本当のインセンティブでは
ないでしょうか。
○本当のインセンティブを健康政策に組み込むためのポイントは?
その政策を考える人が、本当のインセンティブとは何かを理解することだと思います。
そのためにも、政策担当者自身がもっと遊ぶ必要があります。いろいろなスポーツをやって、
いい音楽を聴いて、友達や恋人をつくってほしいと思います。
机やパソコンに向かうだけではなくて、人が何のために生きるか、自分で感じ取らなくては
いい案も浮かびません。興味、好奇心、友達、愛。そういうもののために人間は生きています。
少なくともそれがあるとないとでは人生の楽しさがまったく違うものです。いつでも話が
できる、自分のことを理解してくれる友達がいる、好きな異性がいるというのは最高の価値
ではないですか。そういった最高の価値こそが本当のインセンティブになり、そのために
人は健康になろうと思うのです。
-----
【ヒトは一人では続けられない】という「仮説」からのスタート⇒
一人ひとりの自分らしい「健康づくり」を地域(商店街)で応援する・支え合えるヒトとヒトと
ヒトをつなぐ「まち(仕掛け)づくり」にチャレンジしていきたい!!
『おーっ!こつこつといっぱい歩いてますね!!』
『いつもはつらつとしていてますます若々しいですね!!』
『○○さんの笑い声でまわりのみんなも元気になっちゃうね & 笑顔から勇気をもらえるよ!』
等と【声をかけ合える関係性】・【対話のできる“ヒト”の存在】
(つれあいを亡くされた・子ども達は東京で離れて生活している等の「一人暮らしの方々」に
とっては特に必要とされる日常のコミュニティとして……)
【最高の価値】【~のための健康】を見つける・つくるキッカケをサポートし続けたい!!
(健康診断の数値を改善するためだけの摂生・行動変容は継続が難しいでしょう)
民間だからできるポイント(行政の政策だけではカバーしきれない)・毎日実践の現場に直接
携わっているからこそ気づける視点を積極的に活用し、試行の積み重ねを継続!
今回この記事に触れ、当社の【歩人駅(ほっとターミナル)】構想について考えてみました!
財団法人 健康・体力づくり事業財団
島田 晴雄 学長 (千葉商科大学) Wikipedia
HARUO SHIMADA Web Site
haruo's weblog
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↓本文より
☆お金より大きなインセンティブを
○現在の健康づくりの政策について
健康と社会、特に産業分野についての考え方で、私がいま特に必要だと思うのは「医療」
という概念を広げることだと思います。一般に医療とは病気を治すことだと思われています。
しかし私の考えでは、病気を治す「治療医学」は非常に狭い分野で、実は医療にはさらに
3段階があるのです。
まず、治療医学の前に、病気にならないための「予防医学」があります。
また、特定の病気を予防する以前に積極的に身体を鍛えたりして全般的な健康増進を図る
「健康医学」があります。
さらに進んだ段階として「快適医学」というものがあるのです。
快適医学とは、老若男女、健常者も病人も、だれもがもっている「あしたはきょうより
もっと元気になりたい、美しくなりたい」という気持ち、これを支援するものをいいます。
○生活習慣病対策において、インセンティブの導入はどのような意味をもっているか?
よくない生活習慣が原因で生活機能が低下したり要介護状態になったり、最悪の場合は
死に至る。これは本人や家族が不幸であり、働きざかりの命が失われることは経済や産業
にとっても大きな損失です。逆に健康な人が増えると医療費が安くなったり、保険給付が
少なくなって、国や医療保険者にとっては財政が助かるでしょう。
健康を志向し、生活習慣を見直してもらう過程でなんらかの動機づけ、インセンティブ
を考えるのは当然であり、意義のあることだと思います。
しかし、個人はそんな理由では健康づくりを続けられないでしょう。人間はモノやお金
をあげるからこれをやりなさい、そういって動くほど単純ではないですね。だから、モノ
やお金というのは、本当のインセンティブにはなりません。
○本当のインセンティブとは?
人はそれぞれ、いろいろなことに楽しみや喜びを感じるものです。なかでも何か尽きない
興味を持つこと、これは誰にとっても生きる喜び、インセンティブになると思います。
~心が健康で、こうした生きる喜びを実感できることこそが本当のインセンティブでは
ないでしょうか。
○本当のインセンティブを健康政策に組み込むためのポイントは?
その政策を考える人が、本当のインセンティブとは何かを理解することだと思います。
そのためにも、政策担当者自身がもっと遊ぶ必要があります。いろいろなスポーツをやって、
いい音楽を聴いて、友達や恋人をつくってほしいと思います。
机やパソコンに向かうだけではなくて、人が何のために生きるか、自分で感じ取らなくては
いい案も浮かびません。興味、好奇心、友達、愛。そういうもののために人間は生きています。
少なくともそれがあるとないとでは人生の楽しさがまったく違うものです。いつでも話が
できる、自分のことを理解してくれる友達がいる、好きな異性がいるというのは最高の価値
ではないですか。そういった最高の価値こそが本当のインセンティブになり、そのために
人は健康になろうと思うのです。
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【ヒトは一人では続けられない】という「仮説」からのスタート⇒
一人ひとりの自分らしい「健康づくり」を地域(商店街)で応援する・支え合えるヒトとヒトと
ヒトをつなぐ「まち(仕掛け)づくり」にチャレンジしていきたい!!
『おーっ!こつこつといっぱい歩いてますね!!』
『いつもはつらつとしていてますます若々しいですね!!』
『○○さんの笑い声でまわりのみんなも元気になっちゃうね & 笑顔から勇気をもらえるよ!』
等と【声をかけ合える関係性】・【対話のできる“ヒト”の存在】
(つれあいを亡くされた・子ども達は東京で離れて生活している等の「一人暮らしの方々」に
とっては特に必要とされる日常のコミュニティとして……)
【最高の価値】【~のための健康】を見つける・つくるキッカケをサポートし続けたい!!
(健康診断の数値を改善するためだけの摂生・行動変容は継続が難しいでしょう)
民間だからできるポイント(行政の政策だけではカバーしきれない)・毎日実践の現場に直接
携わっているからこそ気づける視点を積極的に活用し、試行の積み重ねを継続!
2009年9月2日水曜日
目に見えない資本主義:田坂 広志 著 【日本型経営】 その2
目に見えない資本主義:田坂 広志 著 2009/08/06 東洋経済新報社
貨幣を超えた新たな経済の誕生
田坂 広志 氏 (多摩大学大学院教授) Wikipedia
シンクタンク・ソフィアバンク代表
公式サイト「未来からの風フォーラム」
公式ブログ「新しい風」
-----
↓本文より:
☆第十一話 「主客一体」を追及していた日本型経営
◎「主客一体」の精神が求められる時代
「参加型経済」。
この新たな経済が生まれてくるとき、何が求められるのか。
企業は、根本から変わらなければならなくなる。
なぜなら、「参加型経済」とは、極端に言えば、企業と消費者の区別がなくなる経済だから
である。
◎いま、多くの企業が罹っている「操作主義の病」
実は、この新たな経済の出現によって、企業に求められる最も大切なことがある。
それは、実は、極めて根源的なものである。
「操作主義」を捨てること。
企業には、それが求められる。
すなわち、「消費者を、企業の望む方向に操ろうとする発想」
それを捨てることが、求められる。
こう述べると、驚かれる読者がいるかもしれないが、現代において、実は、多くの企業が、
無意識に、この「操作主義」に陥っている。しかし、それが無意識ゆえ、多くの企業が、
そのことを自覚していない。そのことに気がついていないのである。
そして、この「現代の病」と呼ぶべき操作主義が、そのまま、顧客や消費者に対する企業
の意識としても表れている。
その操作主義は、まず最初に、「いかにして、自社の商品を買わせるか」から始まる。
大量の広告と巧みな宣伝によって、消費者の購買意欲を無理に掻き立て、自社の商品を
買わせようとする。そして、この操作主義は、さらに拡大していく。
次には、「いかにして、古い商品から新たな商品への買い替えを促すか」へとエスカレート
する。
すなわち、消費者の購買意欲を掻き立てるだけでなく、さらには、まだ使えるものさえ
捨てさせ、新たに自社の商品を購入させようとする、どこまでも「企業中心」の発想が支配的
になっていく。
これは何が起こっているのか。
人々の消費欲望を掻き立て、購買意欲を掻き立てることが、企業の利益につながる。
その欲望助長の思想と操作主義の発想が結びついたとき、資本主義は、最悪の問題を生み
出していく。
その一つの象徴が、「地球環境問題」であることは、言うまでもない。
欲望増大と大量生産、大量消費の結果、引き起こした地球環境の破壊。
◎日本型経営の「顧客観」
「参加型経済」が広がっていくこれからの時代。企業は、顧客への操作主義を捨て、顧客
との共感や一体感を大切にしなければならない。こうした時代において、日本型経営の
「顧客観」は、その背景にある精神や思想、文化とともに、改めて、再評価されるべきもので
あろう。
そして、こうした日本型経営の奥にある精神や思想、文化を深く見つめることは、これから
の時代、日本という国の歩むべき道を考えるためにも、極めて重要になっていく。
例えば、我が国は、この国の「強み」として、つとに語る「ものづくり」ということ。
この強みも、実は、単に「ものづくり」を支える技術や技能の問題だけではない。
実は、我が国の「ものづくり」の強みは、「ものづくり」に心を込める精神、思想、文化の
強みであることに気がつくべきであろう。
例えば、我が国においては、製品一つでも、単なる「商品」と考えず、「作品」と考える
深い精神性がある。「もの」を作るとき、そこに「こころ」を込める文化が成熟しているの
である。
そして、この日本という国にある精神、思想、文化の深みを理解するとき、次の「地球
環境経済」へのパラダイム転換において、我が国が果たすべき役割が、そして、日本型経営
の持つ強みが、さらに明瞭に見えてくるのである。
☆第十二話 「有限・無常・自然(じねん)」を前提としていた日本型経営
◎世界が学ぶ「有限・無常・自然(じねん)」の精神
「無限成長経済」から「地球環境経済」へのパラダイム転換である。
これは、地球環境問題が深刻化するなか、「無限の空間」「無限の資源」「無限の成長」
を前提にした経済から、「有限の空間」「有限の資源」「有限の成長」を前提とした経済へ
の転換が求められることを意味している。
では、この経済のパラダイム転換において、なぜ、日本という国の持つ価値観が大切になる
のか。
その理由は明確である。
いま、世界が直面している問題に、日本は、遥か昔から直面してきたからである。
いま、世界全体が地球環境問題に直面する時代において、日本という国が考えるべきこと
は、一国としての「輸出の拡大」なのか、地球環境問題を解決することによる「世界への
貢献」なのか。
もし、後者であるならば、我々の選ぶべき道は明らかであろう。
我々は、世界に対して、単なる「商品」としての「技術」ではなく、地球環境問題の時代
における「社会の在り方」としての「技術+思想+文化」をこそ提供していくべきであろう。
そして、このことの重要性は、決して「環境」の分野だけではない。
例えば、「高齢社会」の分野においても、家庭医療機器、バリアフリー家具、介護機器
など、日本の技術で世界に求められるものが数多くあるが、これも、単なる「技術」の輸出
をめざすのではなく、「いたわりの精神」「互助の文化」「看取りの思想」など、日本の
思想や文化とともに、提供していくべきであろう。
それは、「ものづくり」の分野でも同様であることを述べたが、「もの」を作らない
「サービス」の分野においては、さらにそうである。
なぜなら、我が国における「サービス産業」は、整備されたマニュアル、高度な情報シス
テムなどの陰で、優れた日本的精神や思想、文化を忘れてしまっているからである。
我が国におけるサービス業は、例えば、「一期一会の精神」「主客一体の思想」「おもて
なしの文化」など、素晴らしい伝統を持っている。されば、我々は、そうした素晴らしい
精神、思想、文化に根ざしたサービス業の在り方を復活させ、そうしたものをこそ、世界に
示していくべきであろう。
◎世界を先取りした「日本」という国の文化
「新たな価値観」とは何か。
いま、地球環境問題、世界経済危機、テロリズムなど、地球規模の諸問題に直面して、人類
社会は、その基本的な価値観を転換するべき時代を迎えている。
それは、次の「五つの価値観の転換」と呼ぶべきものである。
第一は、「無限」から「有限」へ。
第二は、「不変」から「無常」へ。
第三は、「征服」から「自然(じねん)」へ。
第四は、「対立」から「包摂」へ。
第五は、「効率」から「意味」へ。
このように、いま、地球環境問題、世界経済危機、テロリズムなど、地球規模の諸問題に
直面する時代において、人類社会は、これら「五つの価値観の転換」に向かっている。
しかし、人類社会が学ぼうとしているこれらの「新たな価値観」は、不思議なことに、この
日本という国が、遥か昔から大切にしてきた「懐かしい価値観」なのである。そして、その
価値観は、日本型経営や日本型資本主義と呼ばれるものの奥深くにも、たしかに存在して
いる。
我々は、まず、そのことに気がつくべきであろう。
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またまた引用が長くなってしまったが、下記の組合せ(こじつけ?)として試行を積み重ねて
いきたい!!
【社会の在り方】としての【技術+思想+文化】⇒『健康づくり』と『まちづくり』の組合せ
モノづくり:【高齢社会】分野:【家庭医療機器・介護機器】視点⇒【ばらんすてっぷ】
コトづくり:【いたわりの精神】【互助の文化】:【日本の思想や文化】⇒【しらさん家】
貨幣を超えた新たな経済の誕生
田坂 広志 氏 (多摩大学大学院教授) Wikipedia
シンクタンク・ソフィアバンク代表
公式サイト「未来からの風フォーラム」
公式ブログ「新しい風」
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↓本文より:
☆第十一話 「主客一体」を追及していた日本型経営
◎「主客一体」の精神が求められる時代
「参加型経済」。
この新たな経済が生まれてくるとき、何が求められるのか。
企業は、根本から変わらなければならなくなる。
なぜなら、「参加型経済」とは、極端に言えば、企業と消費者の区別がなくなる経済だから
である。
◎いま、多くの企業が罹っている「操作主義の病」
実は、この新たな経済の出現によって、企業に求められる最も大切なことがある。
それは、実は、極めて根源的なものである。
「操作主義」を捨てること。
企業には、それが求められる。
すなわち、「消費者を、企業の望む方向に操ろうとする発想」
それを捨てることが、求められる。
こう述べると、驚かれる読者がいるかもしれないが、現代において、実は、多くの企業が、
無意識に、この「操作主義」に陥っている。しかし、それが無意識ゆえ、多くの企業が、
そのことを自覚していない。そのことに気がついていないのである。
そして、この「現代の病」と呼ぶべき操作主義が、そのまま、顧客や消費者に対する企業
の意識としても表れている。
その操作主義は、まず最初に、「いかにして、自社の商品を買わせるか」から始まる。
大量の広告と巧みな宣伝によって、消費者の購買意欲を無理に掻き立て、自社の商品を
買わせようとする。そして、この操作主義は、さらに拡大していく。
次には、「いかにして、古い商品から新たな商品への買い替えを促すか」へとエスカレート
する。
すなわち、消費者の購買意欲を掻き立てるだけでなく、さらには、まだ使えるものさえ
捨てさせ、新たに自社の商品を購入させようとする、どこまでも「企業中心」の発想が支配的
になっていく。
これは何が起こっているのか。
人々の消費欲望を掻き立て、購買意欲を掻き立てることが、企業の利益につながる。
その欲望助長の思想と操作主義の発想が結びついたとき、資本主義は、最悪の問題を生み
出していく。
その一つの象徴が、「地球環境問題」であることは、言うまでもない。
欲望増大と大量生産、大量消費の結果、引き起こした地球環境の破壊。
◎日本型経営の「顧客観」
「参加型経済」が広がっていくこれからの時代。企業は、顧客への操作主義を捨て、顧客
との共感や一体感を大切にしなければならない。こうした時代において、日本型経営の
「顧客観」は、その背景にある精神や思想、文化とともに、改めて、再評価されるべきもので
あろう。
そして、こうした日本型経営の奥にある精神や思想、文化を深く見つめることは、これから
の時代、日本という国の歩むべき道を考えるためにも、極めて重要になっていく。
例えば、我が国は、この国の「強み」として、つとに語る「ものづくり」ということ。
この強みも、実は、単に「ものづくり」を支える技術や技能の問題だけではない。
実は、我が国の「ものづくり」の強みは、「ものづくり」に心を込める精神、思想、文化の
強みであることに気がつくべきであろう。
例えば、我が国においては、製品一つでも、単なる「商品」と考えず、「作品」と考える
深い精神性がある。「もの」を作るとき、そこに「こころ」を込める文化が成熟しているの
である。
そして、この日本という国にある精神、思想、文化の深みを理解するとき、次の「地球
環境経済」へのパラダイム転換において、我が国が果たすべき役割が、そして、日本型経営
の持つ強みが、さらに明瞭に見えてくるのである。
☆第十二話 「有限・無常・自然(じねん)」を前提としていた日本型経営
◎世界が学ぶ「有限・無常・自然(じねん)」の精神
「無限成長経済」から「地球環境経済」へのパラダイム転換である。
これは、地球環境問題が深刻化するなか、「無限の空間」「無限の資源」「無限の成長」
を前提にした経済から、「有限の空間」「有限の資源」「有限の成長」を前提とした経済へ
の転換が求められることを意味している。
では、この経済のパラダイム転換において、なぜ、日本という国の持つ価値観が大切になる
のか。
その理由は明確である。
いま、世界が直面している問題に、日本は、遥か昔から直面してきたからである。
いま、世界全体が地球環境問題に直面する時代において、日本という国が考えるべきこと
は、一国としての「輸出の拡大」なのか、地球環境問題を解決することによる「世界への
貢献」なのか。
もし、後者であるならば、我々の選ぶべき道は明らかであろう。
我々は、世界に対して、単なる「商品」としての「技術」ではなく、地球環境問題の時代
における「社会の在り方」としての「技術+思想+文化」をこそ提供していくべきであろう。
そして、このことの重要性は、決して「環境」の分野だけではない。
例えば、「高齢社会」の分野においても、家庭医療機器、バリアフリー家具、介護機器
など、日本の技術で世界に求められるものが数多くあるが、これも、単なる「技術」の輸出
をめざすのではなく、「いたわりの精神」「互助の文化」「看取りの思想」など、日本の
思想や文化とともに、提供していくべきであろう。
それは、「ものづくり」の分野でも同様であることを述べたが、「もの」を作らない
「サービス」の分野においては、さらにそうである。
なぜなら、我が国における「サービス産業」は、整備されたマニュアル、高度な情報シス
テムなどの陰で、優れた日本的精神や思想、文化を忘れてしまっているからである。
我が国におけるサービス業は、例えば、「一期一会の精神」「主客一体の思想」「おもて
なしの文化」など、素晴らしい伝統を持っている。されば、我々は、そうした素晴らしい
精神、思想、文化に根ざしたサービス業の在り方を復活させ、そうしたものをこそ、世界に
示していくべきであろう。
◎世界を先取りした「日本」という国の文化
「新たな価値観」とは何か。
いま、地球環境問題、世界経済危機、テロリズムなど、地球規模の諸問題に直面して、人類
社会は、その基本的な価値観を転換するべき時代を迎えている。
それは、次の「五つの価値観の転換」と呼ぶべきものである。
第一は、「無限」から「有限」へ。
第二は、「不変」から「無常」へ。
第三は、「征服」から「自然(じねん)」へ。
第四は、「対立」から「包摂」へ。
第五は、「効率」から「意味」へ。
このように、いま、地球環境問題、世界経済危機、テロリズムなど、地球規模の諸問題に
直面する時代において、人類社会は、これら「五つの価値観の転換」に向かっている。
しかし、人類社会が学ぼうとしているこれらの「新たな価値観」は、不思議なことに、この
日本という国が、遥か昔から大切にしてきた「懐かしい価値観」なのである。そして、その
価値観は、日本型経営や日本型資本主義と呼ばれるものの奥深くにも、たしかに存在して
いる。
我々は、まず、そのことに気がつくべきであろう。
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またまた引用が長くなってしまったが、下記の組合せ(こじつけ?)として試行を積み重ねて
いきたい!!
【社会の在り方】としての【技術+思想+文化】⇒『健康づくり』と『まちづくり』の組合せ
モノづくり:【高齢社会】分野:【家庭医療機器・介護機器】視点⇒【ばらんすてっぷ】
コトづくり:【いたわりの精神】【互助の文化】:【日本の思想や文化】⇒【しらさん家】
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