2009年7月30日木曜日

創業人材育成事業事例集@日本商工会議所

創業塾・経営革新塾 平成20年度 中小企業庁補助事業 【創業人材育成事業事例集】
日本商工会議所

下記の内容で「平成20年度革新事例」として取り上げていただきました!

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↓日本商工会議所より冊子が届きましたので、内容を紹介させてもらいます。
p.66-73

■会社概要
会社名: 株式会社 笑足ねっと(わらかしねっと)
所在地: 新潟県柏崎市
代表者: 白川 正志 氏
業種: 健康増進支援サービス
商品・サービス:生きがい・健康体力づくり中心の運動あそび塾運営 等
設立: 平成19年4月創業
資本金: 300万円
従業員: 3名
ホームページ: http://www.warakashi.net


■既存事業の概要
~創業56年の精密機械メーカーの三代目が健康サービスに挑む~

 JR柏崎駅から徒歩10分、街の中心部にある複合ビルの1階、路面店という好立地にあるのが
「運動あそび塾“しらさん家(ち)”」。それを運営するのが社名もユニークな「笑足
(わらかし)ねっと」である。代表の白川氏は同社の経営と同時に、もともと祖父が創業した
精密機械メーカー白川製作所の社長でもあるのだ。白川製作所は創業以来56年間にわたって
培ってきた独自の技術を持ち、工作機械・産業機械部品の機械加工・ピストンリングの一次
加工などを主な事業としている。多品種少量生産体制とそれを支える高い生産技術、迅速な
納期と品質で信頼を得てきた。同氏は7年前に三代目の社長を継いだが、モノづくりだけでは
なく、地域に直接貢献できる事業に挑戦してみたいと常日頃から考えていた。環境変化に柔軟
に対応し、ヒトづくりとコトづくり、コミュニティづくりを通じて社会に貢献したいという
考えのもと、ウエルネス(健康増進)事業への進出を決意。「地元に密着した健康サービスを
提供していきたい」という想いから、一見関係が薄いように見える現在の精密機械事業
(白川製作所)と新事業である健康サービス(笑足ねっと)の二社の代表として双方の事業に取り
組んでいる。


■経営革新の動機
~下請けからの脱却、独自健康サービスでオンリーワンを目指す~

 白川氏は小さい頃から機械いじりが大好きな少年だった。学生時代はメカトロニクス
(ロボット研究)分野に進み、「人と協調するロボット」というテーマで研究に没頭。その後、
ロボット事業に関わりたくて大手機械メーカーに就職。しかし25歳の時、祖母が亡くなった
のを機に地元に戻る決断をした。
 「上二人が姉で、三番目にやっと生まれた長男が私。その私に、三代目としての一番の期待
をもってくれていたのが祖母だった」と思い出を語ってくれた。創業者である祖父の妻で
あった祖母。家業への愛着が深い祖母の期待に応えるのは孫である白川氏の必然だったのだ。
 大手メーカーを3年弱で退社し、地元に戻った同氏は父が経営する白川製作所に入社。精密
加工技術のいろはを学んでいた。4年ほど現場を経験したある日、現会長である父から「3年後
には社長を継いでほしい」と言われ、その後社長になったのが33歳。それからというもの経営
者として一生懸命働いてきた。しかし「発注元企業の好不況の波に大きく影響されること」や
「注文通りの製品を納めて終わり」という下請け的な仕事が多いことに危機感を持つように
なる。もちろんモノづくりの探求については今後も必要であるが、「これだけでいいのか」
「ほかに何かできないのか」との思いが強くなってきたのだ。モノづくり単体ではなく、モノ
を活用したり、組み合わせたり、周辺サービスを開発しながら世の中に貢献できないものかと
考えたのだ。
 そんなある日、福祉介護機器の研究会で介護施設を見学する機会があった。その現場で寝た
きり防止や転倒防止のためにリハビリテーションをするお年寄りの姿を見て同氏は驚いた。
「笑顔が少なく、ただ黙々と訓練をしているお年寄りを見ていて辛かったんです」とそのとき
の思いを表現してくれた。これを機に「もっと笑顔で健康づくりができないものか」、「喜ぶ
人の顔がみたい、人と人とをつなげていけるそんな仕事がしたい」と思ったのである。生き
がいになるような健康体力づくりの支援サービスに取り組みたい。地域の役に立ちたい。
これが経営革新のきっかけである。


■新規事業の概要
~子供からお年寄りまで愉しめる「運動遊び」の普及~

 白川製作所の精密機械加工技術を活かし、高齢者のリハビリに役立つような製品開発・
サービス開発に取り組む新事業。白川氏はこれを別会社として立ち上げることにしたのだ。
「社長の道楽としてではなく、社会貢献型のビジネスとして収支にもこだわりたかったから」
とその意図を語り、既存事業との相乗効果をねらいつつも、独立した事業としての体制を
整えたのだ。
 もともと技術力はあったが、福祉分野の製品開発は未経験。そこで、ある出会いをきっかけ
に商品開発とそのプロセス指導をする会社に知己を得、その会社と協力しながら新事業に取り
組み始めた。最初に開発したのが介護予防のための運動遊具。超ローテクで、いわゆる
“ロボット”とはちがうが「ばらんすてっぷ」というバランス運動器具を共同開発した。
一方で同氏は東欧で以前からトップアスリートの養成に利用されてきた“コーディネーション
トレーニング”に着目。運動能力を高め運動神経を鍛えるこのノウハウを、幼児から高齢者の
運動指導に活かすなど新事業に取り込んでいる。
 コンセプトは「子供からお年寄りの方まで愉しめる運動あそび」。これらの運動サポートと
レクリエーション事業を視野に入れ、平成19年4月、健康の仕組みづくりを企画・開発する企業
「笑足ねっと」を立ち上げ、「しらさん家」をオープンした。ここは遊びやゲームを取り
入れ、愉しみながら運動神経を強化する教室で、小学校くらいまでの子どもたちと高齢者を
対象にしている。みんなで遊び、笑いが自然に出る運動を「ばらんすてっぷ」などの運動遊具
を使って愉しく実践している。通常は「たのしむ」は「楽しむ」と書くが、同氏はあえて
「愉しむ」を使うこだわりの持ち主。その理由は「笑う」という言葉がポイント。笑いが自然
に出る・・・「愉快」にたのしむが込められているのだ。
 さらに、運動は一人ではなかなか続けられないという考えのもと、みんなで愉しむことを
大事にしている。体だけを鍛える「何回何セット、1日何分」など、数字や回数を目標にした
「頑張らなければいけない」というプログラムは作らない。仲間と愉しみながら、自分らしく
体力を維持・増進しながら健康に暮らすことを目指しているのだ。


■経営資源の補完方法
~白川製作所・笑足ねっと=“WRグループ”としての相乗効果~

 笑足ねっとは白川製作所と協力しながら“WRグループ”として事業を行っている。
“WR”とは「白川」を英語で表した“White River”。両社の共通の方向性は地域の人たちの
健康をサポートすること。同製作所が強みとする開発力・技術力(モノづくり)と同社の
企画力・運営力(コトづくり)が融合。地域の元気な高齢者・子供の心の豊かさと生きがい
づくりに取組んでいる。
 同社の開業資金は自己資金と銀行からの借入れを活用。またコトづくりに必要な「場」、
すなわち店舗については、ある会合で地域視察をしているときに探し当てた。衰退傾向にある
街中で閉館した映画館を見つけたのだ。スペース的にも立地的にも申し分なくすぐに契約。
映画館だっただけに防音工事も施されているので、わずかな内装工事だけで済むなど経済的な
メリットもあった。
 人に関しては、同グループで新卒を積極的に採用し、「人財」としてその育成に力を
入れる。採用された社員は「しらさん家」のウエルネスサポーターとして活躍してくれて
いる。同氏もビジネスコンセプトやネーミング等々、素晴らしいアイデアマンぶりを発揮して
いるが、実は社員の発想力・アイデアセンスが活かされている点も少なくない。温かみのある
店舗名の「しらさん家」は「知り合いのおうちに出かけているようにリラックスできる」こと
をイメージした「白川さんの家」から名付けたものだが、これも社員のアイデア。
 そしてビジネスパートナーの存在も大きい。なかでも前述した「ばらんすてっぷ」の開発の
協力先である東京のコンサルティング会社との出会いがなければ、運動遊具の開発にはふみ
きれなかったかも知れない。また新事業のPR活動では白川製作所でお世話になっている様々
な事業者との人脈を活用している。


■新規事業の現況
~「空間」「時間」「仲間」を共有するコーディネーショントレーニングの普及~

 現在、笑足ねっとの主な事業は、①ジュニアとシニアの運動遊び塾「しらさん家」の運営、
②高齢者向けの介護予防事業の支援活動、③学年活動や地域行事向けで学校等への出前教室
「親子で運動遊び」の展開、④デスクワーク主体企業向けに「“脳”率アップ出張サポート」
「メタボ対策からメンタルヘルスケア・組織の活性化支援まで」の4つ。
 「なかなか始められない、続けられない」という地域の人々のために「みんなで愉しむ」
ことを追求する同氏は“コーディネーショントレーニング ブロンズコーチ”、
“レクリエーション・インストラクター”、“健康・生きがいづくりアドバイザー”、
“高齢者体力つくり支援士(ドクター)”等々の様々な資格を自ら取得するなど同社の
ウエルネスマネージャーとして活躍中。週末中心ではあるが、仲間である社員と一緒に自分
自身も笑顔のつなぎ役として汗を流す。思いっきりカラダを動かせる「空間」とお互いに
過ごす「時間」、そして成長する「仲間」。これらを共有するサービスが同社の魅力だ。
 柏崎市は原子力発電所の存在や震災復興などで行政の支援策が充実している面も多く、地域
住民には「コミュニティサービスは無料のものを利用する」という感覚を持っている人も
いる。「しらさん家」から1分も離れない場所には地域の人に無料開放されたコミュニティ
スペースがあり、お茶も無料でゆっくりとおしゃべりができる。また日本海に面する当地域
では古くから水泳がさかんで、水泳教室に通う小さい子供たちも多い。「運動遊び」は水泳
教室に通うのと同じように「体を動かす習い事」や「同世代との交流で社会性を持たせる」
子育ての一つ。しかし年配の方には、無料のコミュニティとの違いや、健康増進のための
運動あそびのメリットをどう訴求していくかが今後の課題である。ジュニアとシニアが主要な
対象である同社の事業は、いきなり大きく飛躍するというものではなく、地域との共生の
なかで、その価値を徐々に広めていく性格のものなのだ。


■今後の事業展開と展望
~ハイテクとローテクの融合!“パーソナル感性ロボット”の開発~

 「しらさん家」では志を同じくする若いスタッフ3名が日々、さまざまなアイデアを駆使し
ながら運動あそびの実践にあたる。そのサービスの質の高さから、学校や企業などからの出前
教室の依頼が来始め、会員数も口コミを主体に増えつつある。今後について同氏は「今以上に
会員を増やすこと。そのためには多くの方々にコーディネーショントレーニングの良さを体験
してもらえるよう“きっかけづくり”をすること」だと語る。
 そして現在、柏崎での産学官連携にも取組んでいる。高齢者の健康維持・社会参加のため
新潟工科大学と共同で「動的バランス測定器」を開発中である。適切な歩行動作のためには
身体の筋肉を強化するだけでなく、転ばずに歩くバランス能力のトレーニングが必要だ。
そのためには訓練機器の開発が不可欠。また「運動の継続=習慣化」のカギとなる
「やる気度・元気アップ度」を計測するような製品や、そのヒトのココロを仲間で支え合う
「健康増進の感性をつなぐロボット(Wellness KANSEI Robotics)」づくりも視野に入れる。
実はこの“Wellness Robotics”への挑戦が“WR”グループに込められたもう一つの意味
なのだ。
 今後も「健康づくり」と「まちづくり」を組み合わせる“柏崎モデル”の実現に取り組み、
他地域にも横展開したいと考えている。ハイテクとローテクの融合、ココロとカラダの融合、
さまざまな価値をつなぎあわせていくことがビジネスチャンスにつながっていくと確信して
いるのだ。


■経営革新塾を受講して

 白川氏は平成16年に経営革新塾に参加した。「本当に強い企業として生き残っていくために
今何が必要なのか、現状を見つめ直すにはいい機会だった」と、既存事業から一歩踏み出す
きっかけになったと語る。10回の講座の中でも特に、中小企業の生命線である質の高い
アイデア発想法や、環境ビジネスの可能性などがヒントになったという。具体的な手法が
身につき、新しい事業分野を発見する近道となるこのような実践的な戦略立案ステップは
大いに役立った。「経営革新塾は、既存事業の見直しや、新事業への展開を考える人は必ず
受講した方がいい」と高く評価してくれた。


■経営革新を目指す方へのメッセージ

 ビジネスである以上は収益性・継続性は欠かせない。新事業を始める準備において、苦しい
状況に陥ることは日常茶飯事で順風満帆とはいかない。しかし「なりたい自分を明確にする
ことが夢を実現する第一歩」と白川氏は語る。「気持ちがぶれてはだめ。事業がうまくいくか
を考える時、考えれば考えるほど頭に浮かんでくるのはうまくいかないことばかり。それが
山積みになると事業を諦めざるをえない。必ず成し遂げようという“志”を忘れてはいけ
ない。いわゆる成功者と言われる人たちにも常に“志”を原動力としている」と何事も諦めず
前向きに挑戦していくことの大切さを語る。
 そしてもうひとつ「ソーシャルビジネス、社会性という視点をもって経営革新にあたって
欲しい」と付け加えてくれた。人を大切にする気持ち、地域を大事にすること。一企業では
何も出来ないと認識し、周囲の理解、地域社会の理解があってこそ、思い切って夢に向かって
挑戦できるのだ。


■商工会議所とのかかわり

 「笑足ねっと」の事業はまったくの異業種からの参入となる。そういった意味で商工会議所
との関わりは非常に大きかったようだ。
 経営革新塾に参加してビジネスプランを練り、いろいろな人の実体験を聞き、助言に耳を
傾けてきた。機会があるごとに商工会議所の経営指導員の方々から情報やアドバイスを
もらいながら「身近に相談できる」ことは、本当に心強かったという。「しらさん家」がある
建物は商工会議所に隣接しており、「いつでも相談やサポートが受けられるのがうれしい」と
語る。
 また毎月発行される会議所ニュースなどにはかかさず目を通し、経営に役立つ情報を常に
吸収しているという。同氏にとって商工会議所は、常に新しい情報提供をしてくれる身近な
存在なのだ。


■商工会議所からのコメント

 白川社長は(株)笑足ねっとを立ち上げる以前から、柏崎の産学官連携のリーダーとして活躍
されており、社長のお人柄から当所をはじめ幅広いネットワークをお持ちでした。このネット
ワークが、第二創業には大変重要な要素を占めていたと思います。
 事業展開をお考えの方にとって、経営革新塾はアイデア、ビジネスの可能性を探るなどの
何かしらのヒントを得ることができるはずです。
 商工会議所は、最新の中小企業施策・金融情報の提供や、経営の個別相談など、皆様の
「身近な相談相手」になれるよう努力しております。大いに役立てて下さい。
(柏崎商工会議所 吉原 千恵 氏)


■事例に学ぶ・ここがポイント

 ①新しい発想を生む「やわらかさ」、一貫した理念という思いの「強さ」
 白川氏はビジネスへのこだわりをキーワードで表現する。例えば「つながる+感じる+
愉しむ」の発想から「ばらんすてっぷ」が、そして「みんなで愉しむ+運動あそび」の発想
から「しらさん家」が生まれた。常に新しい発想で新しい時代に対応できるサービスを考えて
いる。「コトづくり」という表現を好む同氏は「道具と仕組みの組合せ」で地域の
「ヒトづくり」に役立ちたいと常に革新し続けている。笑足ねっとは、この「ヒトづくり」
「コトづくり」「コミュニティづくり」の3つが事業コンセプトであるが、同社の会社ロゴは
“笑”の字をモチーフに人が三人歩いているデザインであるが、これにも思いが詰まって
いる。①三人の色の違いは自分らしさという「ココロ」、②手をつないで歩く様子は、仲間・
空間・時間を共有する「コミュニティ」、③“笑”をモチーフにし、元気よく歩く「カラダ」
を表現する。そしてもう一つ、「“道をつくっていく”イメージがそこにはある」これを
教えてくれたのは採用面接で出会った今の社員。やわらか発想は同社に浸透しているのだ。
 やわらかな発想の一方で、同氏の生き方の“芯”にあるのが思いの強さ。「トップの一貫
した理念への挑戦」、「初期のリスクを突破していく覚悟」――。この言葉に秘められた
経営者としての“強さ”と“やわらかさ”の絶妙なバランス。これが地域貢献にこだわる同氏
の“社会起業家”としての道、ソーシャルビジネスへの道をつくっているのだ。

 ②みんなで愉しむという「笑顔」の追求と「感性ロボット」へのこだわり
 「みんなで生活に笑いを足す」これが笑足ねっとの由来である。そして「笑足」は、
「し・ら・か・わ」の組み合わせを変えた「わ・ら・か・し」と読む。地域のみなさんが生涯
自分の足で歩き、人に頼らずいつでも笑顔で外出できたらとの思いを込めた。白川氏は「笑顔
をつなぐ」コーディネート役として事業を進めるが、他のウェルネス産業との違いは「精密
機械加工のプロ」としての56年の歴史と「ロボットを愛する少年時代からの夢」。
 新事業を立ち上げて一番嬉しかったことはという問いに「お客様から直接“ありがとう”、
“楽しかった”と言ってもらえること」、そういってロボットが大好きだった少年の頃の面影
を見せる最高の笑顔で答えてくれた。「感性ロボットへの熱い思い」、「精密機械加工
技術」、「コーディネーショントレーニングのプロ」、この3点に有機的なつながりを
もたせることができるのは白川氏のキャリア以外にはない。今後の同社の事業のひろがりは、
笑顔のひろがりとともにあるようだ。


創業・経営革新事例集(平成20年度はまだアップされていません)
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2009/03/26(木)@【しらさん家】:取材に来ていただきました。

ライターさんの『質問力』にはいつも感心させられます。
お伝えしたかったコトはすべてぎっしり載せてもらっちゃった感じなので、今後の事業説明
の場面ではどんどん活用させてもらおうと考えています。


ジュニアとシニアの運動あそび塾 しらさん家 株式会社 笑足ねっと わらかしねっと

2009年7月9日木曜日

子どもの運動遊び 1:村田 トオル 著 <月刊 健康づくり>

月刊「健康づくり」楽しい フィットネス プログラム 『子どもの運動遊び 1』村田 トオル 著

財団法人 健康・体力づくり事業財団

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村田トオルの元気っず日記(^^♪
村田 トオル 健康運動指導士 (関西大学 非常勤講師)


☆運動遊びとは何か

運動遊びとは
1.神経系向上が期待できること
2.スポーツ活動の基礎的動作を含むこと
3.子どもが熱中し、自ら創意工夫すること
という3つの条件があるとお考えください。

さて、唐突に「遊び」という言葉がでてきました。
この言葉のイメージは大人の視点で見てみると
1.「無意味なもの」
2.「労働と相反するもの」
3.「ふまじめな活動」
ととられがちです。

一方で、遊びの研究者である山田 敏 氏は、遊びとは
1.「楽しいと感じること」
2.「活動そのものが目的であること」
3.「拘束されたり、強制されているという感じをもたないこと」
と定義しています。

何か結果を期待して行う活動ではなく、子どもが、いまこの瞬間、この場所で、自分から
したい! という内発的動機により意欲的に取り組む活動を示しています。非常にポジティブ
かつ、人生の中で重要な意味をもつ活動といえるでしょう。


☆なぜ運動遊びが必要なのか

いま、日本が抱える大きな社会問題の一つに子どもの体力低下があります。具体的には、親
世代と比べると、明らかに走る、跳ぶ、投げるという能力が低下しています。これらの能力
はスポーツ活動の基礎でもありますが、日常生活動作に直結する能力でもあります。また、
身体活動量の目安である日常歩行数も低下の一途をたどっています。文科省はこの原因として
「知育偏重による外遊びの軽視」
「遊びに不可欠な時間、空間、仲間の減少」
「日常的な子どもを不動にさせる環境」
などを挙げています。このまま低い水準での体力や活動量が続けば、国民医療費を圧迫する
メタボリックシンドロームや介護の問題を深刻化させることに難くありません。

子どもの体力低下はこのような「将来のため」という視点からだけではなく「いま起きて
いる現実」にもよくない影響を及ぼしています。


子どもの体力は、もはや“より速く・より高く・より遠く”という競技力重視の体力とは違い
いま直面している生活全般に強く影響を及ぼすものといえます。

遊びの定義「楽しいと感じること」とは、心の動きです。子どもが「楽しく」運動するとき
それは単なる身体移動ではないのです。


☆心が変わる、体力も変わる

注目すべきは子どもたちの心の変化です。私は子どもたちの変化を見て、体力テストをしな
くても体力が向上していることを確信しました。体力向上にかかわる意欲的な行動が目に見
えて表れてきたからです。

『心と体は一体』とよく表現されます。これからは指導やプログラム作成にあたって、心の
部分に着目するときがきているのではないでしょうか。

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『愉しむココロ』:運動あそび塾【しらさん家】では「楽しい」とはあまり表現せずに
『愉しむ』という使い方にこだわっている。

勝手なニュアンス・解釈だが
「楽」:ラク&受動的(楽しませてもらう)
「愉」:りっしんべん⇒ココロから&能動的((自ら)愉しむ)
と捉えている。


そのため各教室でのスタッフのかかわり方も「カリスマインストラクター」となり、みんな
をぐいぐい&どんどん引っ張っていく関係とはならないように取り組み続けている。

「ウエルネスサポーター&運動あそびサポーター」:あくまでもお一人おひとりの健康体力
づくりを支援する・支える&仲間・笑顔のつなぎ役としての「仕事」の価値創造への挑戦だ!

常に主役は参加されているみんなにあるコト(愉しむココロに着目)を徹底・共有できている
ポイントは、このスタンス=「指導」「指導者」という先生役との差異化にも表れている!
(だれも先生とは呼ばれない対等な関係づくりを…ササ・はる・こと・しら)

本文中の定義の一つ:「遊び」は「強制と感じないコト」⇒そう!納得…
「強制じゃない『みんなと一緒』感の追求」が【しらさん家】の永遠のテーマ!!


ジュニアとシニアの運動あそび塾 しらさん家 株式会社 笑足ねっと わらかしねっと

2009年7月6日月曜日

脳トレ神話にだまされるな:高田 明和 著 【脳活性≠脳機能↑】 その2

脳トレ神話にだまされるな:高田 明和 著 2009/06/10 角川グループパブリッシング


高田 明和 氏 (浜松医科大学 名誉教授・昭和女子大学 客員教授)

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↓本文より:

☆第四章 本当の脳トレは毎日の生活のなかにある

三、「脳を鍛えるための三つの習慣」

●正しい呼吸法がセロトニンを増やす

 呼吸も脳の活性化に関係しています。
 ゆっくり呼吸をすると、脳内のセロトニンが増えるということが知られています。禅でも、
ゆっくり呼吸するように厳しく指導されます。セロトニンが増えると感情が安定し、不安が
少なくなります。脳内のセロトニンを増やす薬が、うつ病の治療に使われるのはこのため
です。禅では、ゆっくり息を数えろと教えられます。これを数息観(すそくかん)といい、
坐禅を始めると最初に教えられます。

 日本では昔から長い呼吸が尊ばれました。宮中の歌会始のときなど、実にゆっくり和歌を
詠みます。ゆっくり和歌を詠むことで、呼吸を長くさせ、心を安定させたのです。


●腹筋の刺激が精神の安定につながる

 現代人は姿勢が悪いと言われますが、正しい姿勢は脳に刺激を与えることがわかって
います。
 私たちは、常に重力の影響下に生きています。まっすぐ座ったり、立ったりするためには
首、背骨、腰のまわりの筋肉を緊張させ、支える必要があります。これは無意識に行われて
います。このように常に緊張している筋肉とそれを骨につなぐ腱は、いつも刺激されて
います。
 この刺激は大脳、特に前頭前野に送られます。前頭前野は神経を集中させ、一つのことに
考えをまとめる能力、一つのことを成し遂げようとする能力を高めるのです。ですから、
姿勢を正すことが邪念にとらわれないために非常に大事になります。
 また、腹筋などを緊張させることも重要です。
 昔から「丹田(へその下10cmくらいの場所)を鍛えよ」とか「丹田で呼吸せよ」と言われて
きました。丹田が大事なのは、感情を安定させるために丹田が重要な役割を果たしているから
です。

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運動あそび塾【しらさん家】での教室では、お達者コースでもキンダー・ジュニアコースでも
ゆっくりの深い呼吸をはじめまたはおわりに取り入れていますが、これまで目的を明確には
伝えてきていなかったかなと今回気づきました。

この機会に高齢者にとって&子どもにとっての「自分自身の呼吸に意識を向ける意味&良い
姿勢」とその継続により、ココロとカラダに及ぼす効果・変化を実感できるようにサポート
できればと考えます。

THE ZEN (坐禅)とのコラボも1回きりにせずに継続していきたい!!と思います。
↓実績関連イベント情報
『親子体験会(坐禅+運動あそび)』について:(2009/02/24) e地域ナビ なんでも柏崎【健康づくりイベント】情報4


一方、「静」の呼吸とは反対に位置づけられると思われますが運動あそび塾【しらさん家】の
最大の特徴である『大笑い』『大声』が無意識に自然にでてしまう!(近所迷惑になりそうな
大音量も元映画館の遮音がバッチリ活かされ↑)各教室において、一人ではこんなに「はじけ
ないだろう?」という場面が多々あります。

これは仲間と一緒だからついそうなってしまっている感じですが、まさに自身が呼吸している
コトを意識しない「動」の大きな呼吸(短くなっちゃってそうですが)につながっているのかな
と捉えており、この「腹から笑う」「腹から声がでる」効果検証も進めていければと常々考え
ています。(コレもいっぱいストレス発散になってそうじゃ~ん…と⇒『笑いを科学する』)


ジュニアとシニアの運動あそび塾 しらさん家 株式会社 笑足ねっと わらかしねっと

2009年7月3日金曜日

脳トレ神話にだまされるな:高田 明和 著 【脳活性≠脳機能↑】 その1

脳トレ神話にだまされるな:高田 明和 著 2009/06/10 角川グループパブリッシング


高田 明和 氏 (浜松医科大学 名誉教授・昭和女子大学 客員教授)

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↓本文より:

☆第四章 本当の脳トレは毎日の生活のなかにある

三、「脳を鍛えるための三つの習慣」

●脳細胞は何によって増えるか

 脳細胞が高齢になっても増えるということがわかると、さらに増やす刺激が探られました。
その結果、次の三つの要素が細胞の増殖を促進することがわかったのです。

 一つめは運動です。運動は海馬の細胞を増やすだけでなく、シナプスを増やす役割も担って
いるので、脳の刺激には非常に効果的です。

 二つめは、刺激のある環境で生活することです。動物などの場合には遊び道具があるところ
で生活させると、高齢になっても脳細胞が増えるということがわかっています。仲間と付き
合ったり、一緒に合唱をしたり、山歩きをしたりすることは、脳の活性化に非常によいと思わ
れます。

 三つめは、頭を使うことです。しかし、前にも述べたように嫌々やったり、苦しい過去を
思い出すようなことは逆効果です。楽しく頭を使うことが大事です。

 呆けを防ぐうえでもっとも効果がある趣味が、欧米ではチェス、日本では囲碁・将棋でしょ
うか。また、多人数でやるブリッジのようなトランプゲーム、日本ならばマージャンなどで
しょう。そのほかにも、読書、クロスワードパズルなどが呆けを防止するのに効果がありま
す。

 運動は、子どもの脳の機能の昂進にも役立ち、高齢者の呆けの防止にも役立つようです。
子どもでも大人でも運動することで、算数、読み方などの点数が上がります。これは運動能力
があるということとは関係ありません。体を動かすことが大事です。運動することで、脳由来
神経栄養因子(BDNF)が脳細胞を刺激すると考えられています。

 さらに大事なことは、激しい運動は必ずしも認知症を防がない、ときには認知症を引き起
こすということです。登山、自転車競走、階段を何回も上り下りするということは、認知症
を増やすと考えられています。

 一方、ダンス、家事、散歩、水泳などは、認知症を防ぐ効果があるという結果も出ていま
す。あまり激しい運動は逆効果で、家で簡単にできる運動、あるいは家事などでも脳が活性化
し、呆けを防ぐ効果があるということです。

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最近70歳前後の女性で、少し前までスポーツクラブ等でエアロビをされていた方が参加される
ようになりました。一度ご体験をされ、年相応の運動に切り替えていければというニーズに
フィットしたようで、継続して通ってみましょう!ということで新たな『運動あそび』への
スタートをきられます。

運動あそび塾【しらさん家】の『お達者コース』仲間のみなさんは70歳前後の年齢の方が中心
で、「一人ではなかなかできない・続けられない運動」を『みんなで愉しむ⇒笑顔つながり』
にこだわった内容をお一人おひとりがそれぞれご自分らしく愉しんでおられます。

著書のなかにある「運動・遊び」「仲間とのつきあい」「楽しく頭を使うこと」の要素が
【しらさん家】の『運動あそび』にはバランス良く取り込まれていると考えています。

これまで当社では「脳トレ」「認知症予防」というコトバを私が個人的にあまり好きでは
ないため、あまり使用してきていませんが、『脳を鍛えるためのコトづくり』としてみな
さんに伝わりやすい・一般的な表現だとすれば何らかの活用も検討していかなくっちゃ!
とこの本との出合いで少し柔軟になれそうかな…?といった感じです。
(一人のDSじゃなくて、「みんなと一緒⇒だからこそ!」を付け加えた「脳トレ」として)


ジュニアとシニアの運動あそび塾 しらさん家 株式会社 笑足ねっと わらかしねっと